2025年12月号 イデヤのFP通信
ご挨拶
早いもので、今年もあとわずかです。皆さんにとって、2025年はどのような一年だったでしょうか。
経済面で大きな話題となったのは、トランプ大統領による関税政策です。今後の世界経済や国内景気への影響が注目されますね。
社会保障制度に目を向けると、10月からは一定以上の所得がある場合、75歳以上でも窓口負担が2割となるなど、負担と受益のあり方をめぐる見直しや議論が活発に進められています。
年末年始はまとまった時間をとりやすい時期です。今後のライフプランについて、改めて確認してみてはいかがでしょうか。

今月号のちょっと気になるお金のコラム
この1〜2年で、自己破産件数が急増しています。所得が伸び悩む中での物価高や、無理な買い物が原因として挙げられています。
旅行先で医療機関にかかる場合の注意点
年末年始は帰省や旅行で移動が増える時期です。普段と環境が変わることで、思わぬケガや体調不良で医療機関を受診するケースも少なくありません。いざという時に慌てないよう、ポイントを押さえておきましょう。
県外でこども医療費助成制度を受ける場合
お住まいの自治体以外の医療機関では、子ども医療費助成制度(小児医療証)を利用できない場合があります。この場合は、一時的に窓口で自己負担分を支払い、帰宅後に払い戻し手続きを行います。払い戻しには領収書が必要になりますので、必ず受け取って保管しておきましょう。お出かけ前に、自治体の払い戻し手続きの方法を確認しておくと安心です。
海外旅行で医療機関を受診する場合
海外で医療機関を受診する際は、原則として「いったん全額自己負担」となります。海外の医療費は日本より高額なことが多いため、海外旅行保険への加入を検討しましょう。また、帰国後に健康保険から「海外療養費」が支給される場合があります。申請には、領収書原本(Receipt)、治療内容の明細(Itemized bill / Medical report)、医師の診断内容が分かる書類、処方薬の内容(薬名・量・日数)などが必要です。渡航前に、加入している健康保険組合等で海外療養費の申請方法を確認しておくとよいでしょう。
ちょっと気になるお金のコラム
自己破産が急増。原因は?
近年、物価上昇やクレジットカード利用の増加により、家計のバランスがくずれやすい状況が続いています。下図は、裁判所が受け付けた自己破産件数の推移を示したものです(司法統計より作成)。

一時の減少傾向から下げ止まり、ここにきて再び増加しているようです。物価の上昇により生活費を補うためにカード払いやローンに頼るケースが増えていることも、背景の一つとして指摘されています。
下表は、「多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会」資料から、消費者金融の利用目的を抜粋したものです。

生活費や無計画な買い物が、遊興費やギャンブルよりも多いという結果は、少し意外に感じられるかもしれません。
2番目に多い「後払い決済等の利用代金の支払いのため」には、リボ払いがきっかけで多重債務に陥ったケースなどが含まれます。リボ払いは月々の支払いを小さく見せますが、返済期間が長くなるため、利息を含めた支払総額は大きく膨らんでしまいます。
下図は、100万円の買い物をして毎月2万円のリボ払いをした場合の残債と支払総額の推移を示したものです(年率17.64%で計算)。完済まで92カ月(92カ月目は端数分)かかり、返済総額は約182万円に達します。

最近は、スマートフォンで気づかないうちに設定をリボ払いに変更していたり、カード会社の初期設定がリボ払いになっている事例もあるようです。
高額の買い物は慎重に行うのはもちろんですが、カード明細を確認して、リボ払いの設定の有無をチェックすることも忘れないようにしましょう。

















