2022年9月の安心かわら版

秋分を意識することが重要!東洋医学による秋の体調管理法

まだまだ暑い日々が続きますが、朝晩は比較的涼しい日もあり、秋の気配が少しずつ近づいているようです。秋は体調が不安定になりやすく健康管理に注意が必要ですが、国際薬膳師の大坪モモさんは「秋の健康管理は『秋分』を意識することがポイントです」と話します。

「暦の上では秋は立秋(8月7日)からはじまり、立冬の前日(11月6日)までとなります。この約3ヶ月間のうち、秋分(9月23日)までの“秋の前半”と秋分以降の“秋の後半”は気温が大きく変わるため、その変わり目である秋分で食事や生活習慣を切り替えることを意識すると、健康を維持しやすくなります」(大坪さん)

そこで今回は、秋の前半、秋分、秋の後半のそれぞれについて、東洋医学による食事面や生活面のセルフケアのポイントを教えてもらいましょう。

秋の前半(立秋から秋分まで)

秋の前半は昼が夜より長くまだまだ暑いですが、この時期の暑さは夏の余熱による「残暑」であり、暑さに隠れて少しずつ秋の乾燥がはじまっています。そのためこの時期は暑さ対策として「体を冷やす食材」を、乾燥対策として「皮膚や粘膜に潤いを与える食材」を積極的にとりましょう。リンゴ、梨、柿、レンコン、キュウリ、トマト、豆腐等は、体をほどよく冷やし、かつ皮膚や粘膜に潤いを与える性質があるので、秋の前半にぴったり。ただし、冷やして食べると体を冷やしすぎてしまうので、常温以上で食べるようにしましょう。また、この時期は夏の疲れが残りやすく、疲れを引きずってしまうと秋分前後にだるさや食欲不振等の「秋バテ」を引き起こしやすくなります。疲れが気になる人は、激しい運動を控えて体力を温存し、リラックスして過ごしましょう。そして、米、ヤマイモ、ジャガイモ、サツマイモ、キノコ類、カツオ、サバ等をよくとると、疲労回復のサポートになります。

秋分

秋分前後は寒暖差が激しく、体調を崩しやすいときです。東洋医学では、昼が夜より長い暑い季節を「陽」の季節、夜が昼より長い寒い季節を「陰」の季節と呼び、昼と夜が同じ長さである秋分は「陰と陽が調和する日」と考えます。そんな秋分の日は、活動的になる昼の「陽」の時間と、休息して疲れを取る夜の「陰」の時間のバランスが釣り合うように過ごすことがポイントです。朝は日の出の時間である6時前後に起きて新鮮な朝の空気で深呼吸をし、日中は適度に体を動かして、日が暮れる18時前後には活動を終えて家でゆったりと過ごし、日付が変わる前に就寝しましょう。すると、陰と陽が調和して心身が安定し、寒暖差の影響を受けにくくなります。夜ふかし、アルコールの飲みすぎ、長時間の激しい運動等は陰と陽のバランスを崩すため、秋分の日は避けましょう。

秋の後半(秋分から立冬の前日まで)

秋分を過ぎると夜が昼より長くなり、だんだん寒くなります。乾燥対策に加えて寒さ対策も必須になるため、皮膚や粘膜に潤いを与えて、かつ、体を温める性質がある食材を選びましょう。松の実、クルミ、ニンジン、アスパラガス、小松菜、ザクロ等の食材が特におすすめです。なお、秋の前半に取り入れていた体を冷やす食材は、この時期からは控えるほか、体を冷やさないために飲食物は温かいものだけをとるようにし、冷たいものや生ものはできるだけ避けましょう。涼しくて運動に適した季節ですが、過剰な運動は体力を消耗して逆効果になります。大量に汗をかく運動や長時間の運動は避けて、ほどほどの運動量を心がけてください。

ちなみに、皮膚や粘膜を潤す食材にはほかにも白ゴマ、白キクラゲ、タマゴ、チーズ、牛乳、豆乳等がありますが、これらは体を冷やしも温めもしないため、気温に関係なく秋の前半と後半のどちらにも取り入れることができます。乾燥対策を強化したいときにプラスしてください。夏から秋、秋から冬という季節のグラデーションに合わせて、上手に体調管理をしていきましょう。

監修 大坪モモさん
国際薬膳師、東洋医学ライター。健康雑誌編集部を経て、東洋医学関連の書籍・コンテンツ等の企画制作に数多く携わり、国際薬膳師に。東洋医学に関して初心者の方にも、その魅力をわかりやすく伝えることに力を入れている。オンラインの東洋医学講座も開講中。
https://twitter.com/MomoOtsubo

安全運転アドバイス

2021年6月28日、千葉県八街市で飲酒運転の自家用トラックが下校途中の小学生の列に突っ込み、児童2人が死亡、3人が負傷するという事故が発生しました。これを機に、飲酒運転撲滅を更に徹底する為、法令改正により、安全運転管理者選任事業所においては、2022年4月1日から目視等により運転者の酒気帯びの有無について確認を行うこと等が義務付けられました。また、同年10月1日から運転者に対して運転前後にアルコール検知器による酒気帯びの有無のチェックが義務化されました(施行日は、法令で2022年10月1日と定められましたが、アルコール検知器の製造が間に合わないなどの事情を鑑み延期され、現時点では未定です)。飲酒運転は、罰則強化や厳しい取り締まりなどにより、2000年には1,276件であった死亡事故が2008年には305件と約4分の1にまで激減しましたが、その後は微減状態で推移し、2021年は152件と下げ止まりの傾向がみられます(図1)。今回は、飲酒運転の撲滅に向けて、アルコールが運転に及ぼす影響や飲酒運転に対する罰則、飲酒運転防止対策などをまとめてみました。

アルコールが運転に与える影響

(1)アルコールは心身機能に悪影響を与える
アルコールは脳の働きを麻痺させ、安全運転に必要な情報処理能力や注意力、判断力などを低下させます。また、理性や自制心が失われるほか、身体機能の面でも、平衡感覚が狂う、動体視力が低下し、視野が狭くなるなどの状態になります。そのため、運転に次のような悪影響を与えます。

・ブレーキ操作やハンドル操作が遅れる。
・気が大きくなり速度超過などの危険な運転をする。
・車間距離の判断を誤る。
・人や車の動き、信号の変化などを見落としたり見誤ったりする。

なお、酒に強いと言われる人でも、低濃度のアルコールで運転操作等に影響を及ぼすことが明らかになっています。

(2)飲酒運転は死亡事故につながりやすい

2021年における飲酒有無別の死亡事故率(交通事故に占める死亡事故の割合)をみると、飲酒有りの死亡事故率は飲酒無しの場合の実に9.2倍も高くなっています(図2)。つまり、飲酒運転で交通事故を起こした場合、飲酒していない場合より10倍近くも死亡事故につながりやすいということです。

飲酒運転に対する罰則等

(1)飲酒運転は厳罰
飲酒運転に対する道路交通法上での罰則等は、検出されたアルコールの程度により、図3の通り「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の2つに分かれ、いずれも重い処分が科されます。また、飲酒運転により死傷事故を起こし、自動車運転死傷処罰法(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)が適用されると、図4の通り一層重い処罰を受けます。

(2)飲酒運転の助長行為も厳罰
酒気を帯びている者で飲酒運転を行うおそれがある人への車両等の提供、運転するおそれのある人への酒類の提供、飲酒運転の車に同乗した場合も、図5の通り重い処罰を受けます。

飲酒運転を撲滅するために

(1)飲酒運転防止の基本
飲酒運転撲滅のために、次のことを守りましょう。

・飲酒する場所へは車を運転していかない。
・飲酒した時は公共交通機関やタクシー、運転代行などを利用する。
・ハンドルキーパー運動(グループが車で飲食店に行き飲酒する場合、グループの中に酒を飲まない人を決め、その人は酒を飲まずに、飲食後にグループメンバーを送り届ける運動)を活用する。
・車を運転する人には酒をすすめず、飲酒した人には車を運転させない。

(2)残り酒に注意
前夜の飲酒後に、数時間眠ったことで二日酔いの症状がないから運転しても大丈夫だとは決していえません。酒気が残っている可能性は十分にあります。なお、純アルコール約20g(例:5%のビール500ml、7%の酎ハイ350ml、ワイングラス1杯200ml)を「アルコールの1単位」と言います。個人差や体調にもよりますが、アルコール1単位の処理には約4時間要すると言われています。したがって、500mlの缶ビールを3本飲んだ場合、アルコールを処理する為には3単位×4時間の約12時間が必要になります。夜の10時までお酒を飲んでいて翌朝8時に運転する場合、10時間しか経過していませんので、3単位のアルコールを完全に処理できていない可能性がありますから、運転する前にアルコール検知器で酒気の有無を確認しましょう。そして、わずかでも酒気が検知されれば酒気が消えるまで運転は控えなければなりません。