2025年5月 安全運転アドバイス

警察庁の発表によると、令和6年の交通事故による死者数は2,663人で、前年よりも減少しました。今回は、令和6年の交通死亡事故の主な特徴をまとめてみました。(資料は、警察庁「令和6年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」による)

65歳以上の高齢者が交通事故死者の6割近くを占める

年齢層別に死者数をみると、65歳以上の高齢者が1,513人で(図2)、全死者数に占める割合は56.8%と6割近くを占めています。65歳以上高齢者の死者数を状態別にみると、歩行中が663人(43.8%)、自動車乗車中が507人(33.5%)、自転車乗用中が226人(14.9%)、二輪車乗車中(自動二輪、一般原付、特定原付)が111人(7.3%)で(図3)、歩行中と自転車乗用中を合わせると6割近くを占めています。歩行中や自転車に乗った高齢者を見かけたときは、スピードを落として慎重に運転しましょう。

人対車両の「横断中」が最も多い

死亡事故を事故類型別にみると、人対車両が919件(35.4%)、車両相互が909件(35.0%)、車両単独が734件(28.3%)となっています(図4)。

事故類型の内容をみると、人対車両の「横断中」606件(23.3%)が最も多く全体の4分の1近くを占め、次いで車両単独の「工作物衝突」456件(17.6%)、「出会い頭衝突」の260件(10.0%)となっています。横断歩道へ接近する時は、横断歩行者に注意しなければなりませんが、横断歩道の無い場所であっても横断してくる歩行者は少なくありませんから、決して油断せず、歩行者の動きに十分に注意して走行しましょう。

道路形状別では、交差点内とその付近が死亡事故の半数近くを占める

死亡事故件数を道路形状別にみると、交差点内が876件(33.7%)、交差点付近が306件(11.8%)を占め、交差点内と交差点付近を合わせると45.5%と全体の半数近くを占めています。交差点内について信号機の有無別でみると、ほぼ同数となっています(図5)。

交差点とその付近は、事故が発生しやすい場所ですので、交通状況に十分目を配り、できるかぎり安全な速度と方法で走行しましょう。

法令違反別では、「運転操作不適」が前年より増加している

原付以上の運転者が第1当事者となった死亡事故を法令違反別にみると、「漫然運転」が336件(14.5%)で最も多く、次いで「運転操作不適」307件(13.2%)、「脇見運転」272件(11.7%)、となっています(図6)。

前年に比べて特に増加しているのは、「運転操作不適」(43件増)です。「運転操作不適」とは、急ハンドルや急ブレーキ、ペダルの踏み間違いなど不適切な運転操作を言います。速度を出し過ぎないようにするとともに、できるだけ先の危険を読んで急ハンドルや急ブレーキの必要がない運転を心がけましょう。また、ペダルの踏み間違いは、あわてているときや慣れない車に乗ったときに起こりやすいと言われていますので注意しましょう。

昼夜別の死者数では、夜間の歩行中の死者数がほぼ4分の1を占める

死者数を昼夜別にみると、昼間が1,414人(53.1%)、夜間は1,249人(46.9%)で、昼間ほうが多くなっています。昼夜別・状態別でみると、昼間は自動車乗車中が596人(22.4%)で最も多いのに対して、夜間は歩行中が644人(24.2%)で最も多く全死者数のほぼ4分の1を占めています(図7)。夜間は、歩行者の発見が遅れやすくなりますので、早めにヘッドライトを点灯するとともに、昼間よりも速度を落して運転しましょう。