2022年5月の安心かわら版

楽しくメンタルケア!科学的に立証された面白ストレス解消法

5月は年度替わりにともなう環境の変化でストレスがたまり、精神的な不調が現れやすいタイミングです。ストレスの解消には運動などで気分転換をするのが効果的といわれますが、憂うつな気分のときは運動すること自体がおっくうなことも。そんなときはぜひ、日常生活のなかで楽しく実践できる“アクション”でメンタルケアをしてみませんか?

「ストレス症状は脳の反応によって起こりますが、脳は体の動き、つまり“アクション”の影響を受けることが科学的にわかっています。そのため、“アクション”によって脳を楽しい状態やポジティブな感情に導いて、ストレスをやわらげることが可能なのです」 

こう話すのは、心理言語学者の堀田秀吾さんです。そこでここでは堀田さんに、不安や気分の落ち込みなどを解消することが科学的に認められている楽しい“アクション”を、いくつかピックアップして教えてもらいましょう。

 爪をきれいにする

外見を美しく装うことは、自尊心のアップや精神的な余裕につながることが知られています。なかでも京都大学の研究では、爪にマニキュアを塗ると、緊張、疲労、落ち込みなどが減少することが示されています。顔は鏡を見ないと見ることができませんが、爪は鏡がなくても見ることができ、目に入る機会も多いため、精神面に与える影響も大きいと考えられます。マニキュアだけでなく、爪を磨いたりオイルを塗ったりすることも、緊張や疲労をやわらげる効果が期待できるでしょう。 

変な動きをする

サンフランシスコ州立大学の研究では、同じ側の手足を同時に動かして変な歩き方をするグループと、背中をまるめてしょんぼりと縮こまった姿勢で歩くグループを比較したところ、変な歩き方をしたグループは気分が元気になり、しょんぼりと歩いたグループは元気がなくなったことがわかりました。これは、脳が体の動きを見て反応していることを示しており、変な動きをすると「変な動きをするくらい楽しい状態だ」と脳が判断するためです。憂うつなときは変な動きをしてみると、楽しい気分になれるでしょう。 

笑顔を自撮りする

カリフォルニア大学アーバイン校で、3つの異なる条件で毎日写真を撮る実験が行われました。1つめの条件は自分の笑顔を自撮りすること、2つめの条件は自分を幸せにするような写真を撮ること、3つめの条件は他者を幸せにするような写真を撮ること。この3つの条件で4週間撮影を続けたところ、毎日笑顔を自撮りした人は最も気分がポジティブになり、自分を幸せにする写真を撮り続けた人は思慮深さが向上し、他者を幸せにする写真を撮り続けた人は対人ストレスが軽減したのです。スマホの撮影機能を楽しむ人が増えていますが、ポジティブになりたいときは笑顔を自撮り、思慮深くなりたいときは自分が幸せになる写真、対人ストレスをやわらげたいなら他者が幸せになる写真を撮る、という活用法もおすすめです。 

温かいカップを持つ

コロラド大学とエール大学の研究では、冷たい飲み物が入ったカップを持つときと温かい飲み物が入ったカップを持つときを比較すると、温かい飲み物が入ったカップを持つときのほうが他者をより温かい人物だと評価することがわかりました。これは、温かいものに触れているだけで、他人に対する配慮や気遣いが生まれやすいことを示しています。イライラして他人に当たりやすいときや、落ち込んでいてネガティブな発言をしそうなときは、会話の際に温かいカップを持ちながら言葉を交わすと相手にやさしくなれそうです。

どの“アクション”も気軽に楽しみながらできるものばかりです。ぜひ、「面白そうだな」と思うものを気分に合わせて取り入れてみてください。

監修 堀田秀吾さん
心理言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。商標や裁判員裁判などの司法分野におけるコミュニケーションにおいて、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング/共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『図解ストレス解消大全』(SBクリエイティブ)など著書多数。

安全運転アドバイス

ドライバーには歩行者を保護する義務がありますが、特に事故に遭いやすい子供に対しては、十分な注意が必要です。そこで今回は、事故につながりやすい子供の行動特性と子供を事故から守るためのポイントをまとめてみました。

事故につながりやすい子供の行動特性

(1)手を上げて渡れば横断歩道は安全と考えている

子供のなかには、手を上げて渡れば横断歩道は安全と考えて、車が接近しているか否かを確認せずに横断したり、車が接近していても車が止まってくれると考えて横断することがあります。また、片側1車線の道路では、片方から接近する車が停止すると、その反対車線を走行している車の接近を確認しないまま横断することがあります。

(2)友達に続いて横断する時に車を確認しないことがある

子供が数人でいる時、一人の子供が横断歩道を横断すると、それに続く子供は車が接近しているかどうかを確認しないまま横断することがあります。住宅街などの脇道からの子供の飛出しの場合も同様で、一人の子供が飛出しすると、その後から、次々に子供が安全確認をしないまま飛び出してくることがあります。

(3)道路の反対側に友達などがいると横断する

道路の反対側に子供の友達や親などがいる場合、安全確認をせずに、いきなり道路を横断することがあります。特に登下校の時間帯は、子供たちが道路の両側を通行することが多く、反対側に友達を見つけて急な横断をする危険性が高まります。また、登下校中の子供は集団になりやすく、子供同士でふざけあうなどして、急に車道に出てくる場合もありますので、注意が必要です。

(4)子供は死角に入りやすい

子供は身体が小さいため、駐車車両や植込み、のぼり旗、看板などのかげに隠れてしまい、ドライバーからは子供の動きがよく確認できないことがあります。一方、子供のほうも視界を遮られてしまい、接近する車が確認できなかったり、発見が遅れやすくなります。

子供を事故から守るために

(1)横断歩道に子供がいる時は必ず停止する

横断歩道に接近する時は、歩行者などがいないことが明らかな場合を除き、横断歩道の直前で停止できるような速度で進行しなくてはなりません。また、子供に限らず、横断歩道を横断しようとしている歩行者がいる時は、車は一時停止して歩行者の横断を妨げないようにすることが義務づけられています。特に子供は、手を上げれば車が止まってくれると思って、車が接近している場合でも横断することがあります。横断歩道を横断しようとしている子供がいる時は必ず一時停止して、子供を横断させましょう。 なお、一人の子供が横断したからといって、すぐに発進するのは危険です。その子供を追って別の子供が走って横断するケースもあるからです。一人の子供が横断を終えても、その後から横断する子供がいないかどうかを必ず確認しましょう。

(2)子供のいる道路の反対側にも目を向ける

道路脇に子供がいる時は、その子供だけでなく、道路の反対側にも目を向けて、子供の友達や親などがいないかどうかを確認しましょう。もし、道路の反対側に友達や親などがいる場合には、急に道路を横断することが予測されますから、減速し徐行するなど、子供の飛出しに対応できるようにしておきましょう。

(3)死角に入った子供を見落とさないようにする

住宅街の道路や学校、公園など子供の多い場所で駐車車両がある場合は、駐車車両の周辺に子供がいないかどうかを慎重に確認しましょう。もし、子供を見かけた場合は、その子供だけでなく、駐車車両の死角に入って見えない子供がいるかもしれないと考えて徐行するなど、子供の不意な飛出しに備えましょう。また、植込みやのぼり旗、看板などが設置されている横断歩道の場合は、子供が見えにくいことがありますから、横断歩道の接近時に十分確認するようにしましょう。

(4)通学路の走行はできるだけ避ける

標識や路面標示で「通学路」に指定されている道路では、特に朝と午後の登下校の時間帯の走行は、できるだけ避けましょう。やむを得ず走行する時は、登下校中の子供は、ふざけあって急に車道に出てくることがあるということをしっかり頭に入れて、子供の動きに注意し、十分に速度を落としましょう。