2025年10月号 イデヤのFP通信  

ご挨拶

過ごしやすい季節になってまいりましたが、いかがお過ごしですか。
10月から11月にかけて、保険会社から「保険料控除証明書」が送付されます。控除証明書は年末調整や確定申告に必要となります。紛失してしまうと再発行に時間がかかることがあるため、大切に保管してください。
保険会社から控除証明書が届くこの時期は、ご加入中の保険内容を確認する良い機会でもあります。ぜひ見直しのきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

今月号のちょっと気になるお金のコラム

ネット利用は私たちの生活とは切っても切れない関係になっています。そんなサイバー空間を利用した犯罪が急増しています。

100歳以上人口過去最高

先月の敬老の日にあわせ、厚生労働省は「令和7年度百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について」を公表しました。今年100歳を迎えて表彰されたのは52,310人(前年度比+4,422人)、100歳以上人口は合計99,763人となり、過去最多を更新しました。
下図は1963年からの100歳以上人口と平均寿命の推移を示したものです。

1963年には100歳以上人口は僅か153人、平均寿命は男性67歳・女性72歳でした。また、推計では2050年に100歳以上人口が50万人を超える見込みとされています。
今月から一定以上の所得がある75歳以上の方は、医療費の自己負担が2割に引き上げられました。負担の在り方をめぐる議論を見据え、将来に向けた備えを一層重視していく必要があるでしょう。

ちょっと気になるお金のコラム

9月18日、警察庁は「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を公表しました。インターネットが生活基盤に溶け込み利便性をもたらす一方で、サイバー空間を利用した犯罪は急速に拡大し、日常生活を脅かすところまで来ています。
令和7年上半期に報告された主なサイバー犯罪の被害状況は以下の通りです。

被害総額はいずれも増加傾向にあり、特に証券口座を狙った不正取引の被害額は5,000億円を超えるなど、過去に例を見ない規模へと拡大しています。
「フィッシングメールを開いてしまった」「カードの不正利用があった」など、被害に遭う危険と隣り合わせのケースも多いのではないでしょうか。
下図は犯罪金額と認知件数の推移です。

犯罪増加の背景にはいくつかの要因があります。まず、SNSや匿名性の高いメッセージアプリの普及により、犯罪実行者の募集や犯罪グループ間の連絡が容易になったことが挙げられます。

いわゆる「闇バイト」と称される実行者募集が氾濫し、強盗や特殊詐欺への関与に至るケースも確認されています。
サイバー犯罪の怖さは、加害者が誰なのか、そしていつどのように被害に遭ったのかが判然としない点にあります。
従来の犯罪であれば、現場や時間、相手の姿がある程度特定できますが、サイバー空間では匿名性と国境を越えたネットワークにより、加害者の所在や手口を即座に把握することは困難です。そのため、被害に気づいた時には既に資産が流出していたり、個人情報が不正利用されていたりするケースも少なくありません。こうした「見えにくさ」が、サイバー犯罪の「怖さ」と言えるのではないでしょうか。


被害に遭わないためには日常的なセキュリティ意識の向上が欠かせません。
• フィッシングメールや不審なSMSのリンクはクリックせず、必ず公式サイトやアプリで確認する
• 認証情報は複雑で推測されにくいものに設定し、二段階認証を有効化する
• SNS上の「高収入」「即日現金化」といった甘い誘いに注意する(犯罪加担につながる危険あり)
• 家庭や企業でバックアップ確保・セキュリティソフト導入・ログ保存を徹底する


サイバー空間は利便性と脅威が表裏一体で存在する空間です。私たち一人ひとりが正しい知識と慎重な行動を心がけ、犯罪に巻き込まれないようにしていきましょう。
万一被害に遭った場合には、速やかにカード会社や金融機関へ連絡するとともに、警察庁のサイバー犯罪相談窓口やフィッシング対策協議会など、公的機関に相談してください。早めの行動が被害拡大を防ぐ第一歩となります。