2022年3月の安心かわら版

最新のダイエット医学による“食べてやせる”食事法

3月になり、少しずつ春の息吹を感じられるようになってきました。薄着の季節がくる前に、そろそろダイエットを始めようと考えている人もいるでしょう。

ダイエットといえば「カロリー制限」というイメージが強いですが、年間5万人を保健指導する医師の益江毅さんによれば、いくら食べたいものをがまんしてカロリー制限をしても、やせることができないことが医学的に明らかになったといいます。

「以前は『摂取カロリーを抑え、それ以上に消費カロリーを上げればやせられる』という考え方である『エネルギーバランスモデル』が多く採用されていました。しかし、最新の研究では太る原因とカロリー摂取量はまったく関係がないことが明らかになり、2021年9月に米国栄養学会によってエネルギーバランスモデルは完全に否定されました。つまり、カロリー制限をしてもダイエットは成功しないというわけです」(益江さん)

では、どうすればダイエットできるのかというと、食後の血糖値の上昇を抑えることにカギがあると、益江さんは話します。

「私たちは糖質(炭水化物)を取ると、その後に血糖値が上昇します。その上昇した血糖値を下げるために『インスリン』というホルモンが分泌され、糖が体脂肪となります。そのため、食後の血糖値の上昇を抑えることができれば体脂肪が蓄積されにくくなるわけです。この考え方を『炭水化物-インスリンモデル』と呼びますが、米国栄養学会はこの考え方にもとづくダイエットこそが有効だと結論づけています」(益江さん)

この最新のダイエット理論をふまえて、具体的にどうするとやせることができるのか、そのポイントを教えてもらいましょう。

主食はたんぱく質や脂質と“合わせ食べ”する

糖質はご飯やパン、麺類等の主食に多く含まれているため、主食の量を控えめにすることがダイエットにつながります。しかし、たんぱく質や脂質には血糖値の上昇を抑える性質があるため、主食の量を減らさなくても、たんぱく質や脂質と一緒に食べることで太りにくくなります。白ご飯よりも卵かけご飯やチャーハン、なにもつけないパンよりもバターたっぷりのパン、和風パスタよりもペペロンチーノやカルボナーラのほうが、ダイエットになるといえるでしょう。

野菜や肉・魚類を先に食べ、主食は最後に食べる

食事をするときはまず野菜や肉類・魚類から食べ、主食は一番最後に食べるようにすると、食後の血糖値上昇をやわらげることができます。また、野菜や肉類・魚類を先に食べることである程度の満足感が得られるため、最後の主食を少量にしても満足を得やすいというメリットもあります。

朝食を食べる

食後の血糖値は、食事までの絶食時間が長いほど上昇しやすいという特徴があります。そのため朝食を抜くと、前日の夕食から当日の昼食まで絶食時間が長時間続くため、昼食後の血糖値が急激に上昇しやすく(血糖値スパイク)、太りやすくなります。一方、朝食を食べると食後の急激な血糖値上昇を防ぐことができるため、太りにくいのです。ただし、それでも朝食は前日の夕食からの絶食時間が長く、三食のなかでは最も食後の血糖値が上がりやすいため、糖質は控えめにしてたんぱく質をしっかりとるようにしましょう。

食べたくてもがまんするダイエットは、筋肉が落ちてしまうため、かえって太りやすい体になってしまうこともわかっています。この春は最新の医学に基づく“がまんしないダイエット”で、食べてやせることを目指してみてください。

監修 益江毅さん
医師・労働衛生コンサルタント。産業医科大学卒業後、大阪大学医学部第一内科、大阪警察病院等で内科専門医、救急専門医として勤務した後、三洋電機株式会社大東産業保健センター所長・パナソニック大東健康管理室室長・専属産業医に就任。2012年に産業保健サービスを提供する株式会社健康管理室を大阪市内に起業。これまでに200社以上で産業医をつとめる。
1月19日に発売された最新刊『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』(ダイヤモンド社)では、インスリンの分泌量を抑えるためには糖質をなにと組み合わせて食べればいいか、いつ食べればいいか、食べた後になにをすればいいか等を詳細に掲載。日本で初めて最新のダイエット理論「炭水化物-インスリンモデル」を取り上げた本となっている。
https://kenkokanrisitu.com/

安全運転アドバイス

長崎県道 雲仙千々石線 くねくね道

「交通の方法に関する教則」の「危険な場所などでの運転」の項目のなかに、カーブや坂道が取り上げられています。カーブや坂道では、速度のコントロールを誤ったり、ハンドル操作などが不適切だと、重大な事故につながる恐れがあります。そこで今回は、カーブと坂道の安全走行のポイントをまとめてみました。

カーブの安全走行

カーブの手前で十分に速度を落とす

カーブでは、車を外側へ引っ張ろうとする遠心力が働きます。遠心力は、スピードが速いほど、カーブの半径が小さいほど(カーブがきついほど)大きくなりますから、速度の判断を誤るとカーブを曲がりきれずに、ガードレールなどに衝突したり路外へ転落するなど、事故の危険が高まります。カーブに接近したときは、その手前の直線部分で十分に速度を落としましょう。特に夜間は、暗いためにカーブのきつさが正しく把握できないケースがありますから、より一層の注意が必要です。また、カーブの手前で急な減速をする車もありますから、先行車があるときは十分な車間距離をとっておくようにしましょう。

急なハンドル操作をしない

カーブを曲がるときに急ハンドルを切ったり、ハンドルを切りながらブレーキを掛けたりすると、横転や横滑りを起こしやすくなりますから、ハンドルは緩やかに操作しましょう。

センターラインをはみ出さない

センターラインをはみ出すと対向車と正面衝突する危険性が高まりますから、必ず車線を守って走行しましょう。特に、センターラインのないカーブでは道路の中央に寄りがちになりますから注意しましょう。

夜間のカーブではヘッドライトが照らさない部分に注意する

夜間のカーブでは、ヘッドライトが照らさない部分があり、道路を横断しようとしている歩行者や逆走してくる無灯火の自転車などの発見が遅れることがあります。ヘッドライトが照らさない部分にも目を配り、歩行者等の早期発見に努めましょう。

坂道の安全走行

坂道における安全走行の基本を守る

①長い下り坂でフットブレーキを使い過ぎると、ブレーキが効かなくなることがあります。低速ギアにしてエンジンブレーキを活用しましょう。

②下り坂では加速がつくため停止距離も長くなります。前車との車間距離を十分にとって、前車の減速や停止にも余裕をもって対応できるようにしておきましょう。

③上り坂の頂上付近はその先が死角となります。そのため上り坂の先に横断歩行者がいても発見が遅れてしまう危険があります。坂道の頂上付近は徐行が義務づけられていますから、必ず徐行して上り坂の先の状況をしっかり確認しましょう。なお、上り下りを問わず、坂の頂上付近の駐停車は禁止されていますから、駐車も停車もできません。勾配の急な坂道も同様です。

④上り坂で前車に続いて停止するとき、あまり接近し過ぎると、発進時に後退した前車と接触する危険があります。上り坂で前車に続いて停止するときは、前車の後退を予測し、十分な車間距離をとっておきましょう。

⑤狭い坂道で対向車とすれ違う場合は、下りの車が停止して上りの車に道を譲りましょう。ただし、上りの車の近くに待避所がある場合は、上りの車でも待避所に入って下りの車の通過を待ちましょう。

⑥片側が崖になっていて、安全な行き違いができない場合は、崖側の車が一時停止して道を譲りましょう。

連続した下り坂や上り坂では勾配の錯覚に注意する

道では路面の勾配を錯覚することがあります。例えば、急な下り坂の先に緩い下り坂が続いていると、緩い下り坂が上り坂のように見えてしまい、アクセルを踏んで加速しようとします。しかし、実際は下り坂ですから、アクセルを踏めば、想定以上の速度が出てしまうことになります。急な上り坂の先に緩い上り坂が続いている場合は、緩い上り坂が下り坂のように見えてしまい、上り坂にもかかわらずブレーキを踏んで減速しようとします。そのため速度が低下して後続車との車間距離が詰まり渋滞の原因になることがあります。こうした錯覚は誰にでも起こりますから、路面だけ見るのではなく、スピードメーターをチェックして速度をコントロールしましょう。